2026年10月9日、金融庁は暗号資産交換業者(国内取引所)や金融機関に対し、非対面での本人確認(eKYC)における「顔写真・身分証の画像撮影方式」を廃止し、マイナンバーカードや運転免許証の「ICチップ読み取り方式」へ前倒しで移行するよう要請を出しました。
これまで暗号資産取引所の口座開設では、スマホで身分証明書の厚みを撮影し、自身の顔写真(セルフィー)を撮影して提出する方式が一般的でした。しかし今後は、マイナンバーカードなどをスマホのNFC(近距離無線通信)にかざしてICチップを直接読み取る方式への一本化が進むことになります。
本記事では、この突然の発表の背景や、今後の暗号資産口座開設ルートの変化、そして投資家・ユーザーが今から準備しておくべき注意点について分かりやすく解説します!
金融庁がセルフィー撮影方式の廃止とICチップ読み取りを要請した背景
今回、金融庁が2027年4月の改正規則施行を待たずに前倒しでの対応を強く求めた背景には、相次ぐサイバー攻撃や不正アクセス、および本人確認手続きの悪用があります。
近年、ディープフェイク技術を用いた顔写真の偽造や、精巧に作られた偽造身分証画像を用いた「なりすまし口座開設」が急増しており、不正に作られた暗号資産口座が詐欺資金の洗出(マネーロンダリング)に悪用されるケースが深刻化していました。
こうした状況を受け、画像判定に頼る従来のセルフィー撮影方式はセキュリティ上の限界があると判断され、偽造が極めて困難な「ICチップ直接読み取り」への完全移行が決定づけられたのです。
これまでの本人確認(eKYC)と今後のICチップ読み取り方式の違い
今回の要請により、今後の暗号資産取引所の口座開設手続きは以下のように大きく変わります。
これまでの手続き(順次縮小・廃止)
- 運転免許証やマイナンバーカードの表・裏・厚みをスマホのカメラで撮影
- 本人の顔をさまざまな角度から自撮り(セルフィー撮影)
- AIや目視による画像チェック
これからの手続き(ICチップ読み取り方式へ一本化)
- マイナンバーカードや運転免許証のICチップを、スマホのNFCで直接スキャン
- カード発行時に設定した暗証番号(署名用電子証明書や券面入力補助用暗証番号)を入力
- 公的個人認証サービス(JPKI)等を介した即時・確実な本人確認
カメラの角度調整や光の反射で何度も撮影し直すストレスがなくなる反面、暗証番号の管理や対応スマホの準備が必須となります。
暗号資産ユーザーが今すぐ確認・準備しておくべき3つのポイント
各取引所がICチップ読み取り方式への移行を順次進めていく中で、ユーザー側が慌てないために今から確認しておくべきポイントをまとめました。
マイナンバーカードの取得と券面暗証番号の確認
ICチップ読み取りによる本人確認(特に公的個人認証)では、マイナンバーカードを利用するケースが主流になります。まだマイナンバーカードを取得していない方は、早めの申請を推奨します。
また、カード作成時に設定した「数字4桁の暗証番号」や「英数字6〜16桁の署名用パスワード」を忘れてしまっている場合は、事前に市区町村の窓口等で再設定・確認をしておきましょう。
スマホのNFC読み取り機能(マイナポータル対応)の確認
ICチップを読み取るためには、お使いのスマートフォンがNFC機能(マイナンバーカード読み取り)に対応している必要があります。近年のiPhoneや主要なAndroid端末であれば問題ありませんが、古い機種を使用している場合は動作確認を行っておくことが大切です。
既存口座の追加本人確認(再確認)への備え
新規口座開設時だけでなく、今後は既存ユーザーに対してもセキュリティ強化の一環として「ICチップによる再本人確認」が求められる可能性があります。取引所からの案内に注意し、偽メール(フィッシング詐欺)等に警戒しながら正規アプリ経由で手続きを行えるよう準備しておきましょう。
まとめ:セキュリティ向上で暗号資産市場全体の信頼性アップへ
金融庁による「ICチップ読み取り方式への前倒し移行要請」は、一見すると手続きのハードルが上がるように思えるかもしれません。
しかし、不正口座開設や詐欺利用を劇的に減らし、業界全体のセキュリティ水準を引き上げる上では非常に大きな前進と言えます。
2028年に予定されている暗号資産の「20%申告分離課税化」に向け、国内の暗号資産市場がより安全で信頼性の高い環境へと整備されつつあります。投資家の皆様もマイナンバーカードや暗証番号の準備を早めに済ませ、安全な取引環境を整えていきましょう!


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